最終更新日時 : 2015年09月16日
今回は④季節資金についてお話します。
商売には季節サイクルがあるのが一般的 です。よく言われるのは1年のなかでも2月、8月は商売が落ち込むと言われます。また業種によっては、2月、8月が逆に商売が活況なものもあります。このように事業の種類によって年間の売上の波があることで資金繰りにもその影響が出てくるのをカバーしようとするのが季節資金です。
例えば、6 月と12月に売上が伸びる企業があったとします。6月と12月の売上に備えるために在庫の仕入は4月、10月にピークを迎えます。そうすると、4月、10 月の仕入を2か月後の6月、12月に支払うとしても、売上の回収は売上発生よりも遅れるために資金負担が生じてしまいます。そのギャップを埋めるために、 6月、12月に季節資金を導入して、その借入の返済を売上ピークの回収に合わせる形です。
あくまで、季節資金は「短期借入」で行うことから金融機関としても取り組みやすいのが特徴です。では、季節資金を金融機関に依頼するにあたり気を付けるポイントはどこでしょうか?
金融機関に商売のサイクルを理解してもらうのは少し時間がかかるかもしれません。取引して間もないころに季節資金のことを話しても、相手はまだ理解しきれないことも多いでしょう。では、理解してもらうにはどうしたらよいでしょうか?
効果的なのは、毎月の月次試算表を金融機関に提示することで自身の商売サイクルを説明することです。毎月提出していると、売上の推移や仕入の推移が分かってきますので、商売の季節性がどのようになっているのかが金融機関も理解してもらえます。
売上が伸びる季節になれば、当然ながら売上代金の回収高も増加します。「季節資金」とは「運転資金」の一種であることはこれまでもお話ししてますが、季節資 金として借りたお金を仕入れに充て、その結果、売上が発生して、その代金にて「季節資金」の返済を行うサイクルになります。となると、「季節資金」を融資してくれた銀行の口座に売上代金が入るように指定するのは、ごく自然な流れになります。貸す側の金融機関とすれば、この「資金サイクル」に口座を指定してもらえれば、商売の流れが掴める狙いもあります。
では、売上の回収指定はどのくらいの数の先を集中させればいいのでしょうか?金融機関としては、もちろん全ての売上先の指定が欲しいと思いますが、なかなかそうもいかないでしょうし、他の金融機関とのバランスもあるので一行集中は避けたほうがいいでしょう。
やり方としては、「まず1社」からで十分だと思います。金融機関としても、売上回収指定をまずは「1社」とれた実績がつくことから、次の融資取引の展望がひらけるきっかけにもなるでしょう。
季節資金を恒常的に利用することで、金融機関との実績関係が構築されてきます。また、事業についてより詳しく理解が進むことから、季節資金だけではなく、運転資金を長期で調達できるようになるなどの取引の展望が開けてくることになるでしょう。
このように資金調達の手法として「季節資金」という選択肢を考えておくと、通常の運転資金にプラスαの効果が出てきますので、是非実践してみてください