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「運転資金」って? その1

最終更新日時 : 2015年09月29日

皆さんが銀行に融資を相談する際に、銀行から「資金使途は何ですか?」と必ず質問されると思います。融資申込書にも「資金使途」を記載する欄があると思いますが、設備資金で申込をされる以外は、まず「運転資金」の欄に○をされると思います。

「運転資金」とは非常に便利な言葉ですが、この言葉の意味は多様です。今回からのコラムでは、この「運転資金」の言葉の意味を考えてみたいと思います。

運転資金の種類は大きく分けて5パターンがある

銀行が融資を審査するにあたって一番大切にしているのが「資金使途」になります。つまり、融資したお金が何に使われるかによって、返済が可能なのか?返済期 間はどのくらいに設定したらよいのか?を検討していくことになります。では、銀行が見ている運転資金にはどういったものがあるでしょうか?

大きく分けると、以下の5パターンがあります。
①経常運転資金
②増加運転資金
③決算賞与資金
④季節資金
⑤赤字補填資金

皆さんも①~⑤の名前は聞いたことがあると思います。①~⑤の意味はそれぞれ違いますが、全てまとめて皆さんは「運転資金」と呼んでいると思います。では、①からどんな内容のものなのかをお話ししていきます。

①経常運転資金

これが本来の「運転資金」の意味になります。企業が経営を持続させるにあたって必要なお金は売上を回収するまでにかかるサイト(期間)と仕入等の支払いのサ イト(期間)のギャップにあります。また在庫を保有する必要もありますので、在庫が売上となって現金に代わるまでの期間の資金負担が発生します。これを 「経常運転資金」と言います。一般的には下記の計算式で表します。

(「正常な運転資金・受取手形」+「正常な在庫」)-「買掛金・支払手形」

「正常」とあるのは、正味の資産価値のことを言います。例えば決算書上の売掛金のなかで回収不能に陥っているものや、在庫で資産価値が乏しいものについては、 帳簿金額から控除されて算出されます。決算書上の帳簿価格がそのまま資産価値があれば、帳簿金額通りの「経常運転資金」として算出されますが、もし資産価 値がないものが含まれていると、決算書から算出されるものよりも少ない「経常運転資金」が算出されることになります。

つまり、銀行が見る「経常運転資金」と企業が見る「経常運転資金」に差が出ることになります。皆さんの決算書からでも「正常な運転資金」は算出できますので、一度計算してみてください。

運転資金は返済するものではない

正常な運転資金の算出式は売掛回収及び在庫が売上換金されるまでの資金負担と支払負担の差であるとお話ししました。例を挙げてみますと、毎月の売上が10百 万円の会社があったとして、売上回収サイトが2.5ヵ月、在庫は月商の2ヵ月分が必要で、支払いサイトが1.5ヵ月の会社があったとします。この会社の運 転資金はどうなるかと言いますと

(10百万円×2.5ヵ月+10百万円×2ヵ月)-10百万円×1.5ヵ月=10百万円×3ヵ月(30百万円)が必要になります。

この3か月分の資金負担はサイト条件が変わらず、売上が変動しないとすれば、企業が継続していく上では常に必要なお金になります。つまり、この運転資金が調 達できなければ、企業経営がストップしてしまうことを意味します。もっと言えば、この運転資金を返済し続けていると、資金ショートを起こしてしまうのです。

ただし、銀行は運転資金の融資でも期間は短期~長期と様々ですが毎月の返済をつけます。これは融資の保全の意味もありますが、本来は短期での期限一括等で返済がつかないのが運転資金の理想です。

返済が進んで運転資金が不足してくると銀行は「折り返し」として運転資金を復元させる融資を行います。復元させることで企業に必要な「経常運転資金」を支援している形をとっているのです。

運転資金を毎年借りているのは、実は「正常な運転資金」のラインを維持するための融資であると考えてください。

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